▼1-1.『団子サッカー』
小学校低学年や未就学児のサッカー指導をしていると、必ずといっていいほど直面する言葉に、『団子サッカー』という言葉があります。筆者自身も、(サッカー指導を始めた約20年前から)ずっとこの問題に取り組んでいます。指導の現場でもよく耳にする「団子サッカー」とは、一体どういうこと(現象・状態)をいうのでしょうか?
▼1-2.団子サッカーの定義
筆者の主観になりますが、『団子サッカー』とは、「試合を行っている選手の多く(→3人以上の複数)が、ボールを奪おうとor干渉しようと、ボールに集まってしまうこと」と捉えています。その選手たちの様子が、食べ物の『だんご』のように連なって見える(?)ことから、『団子サッカー』と表現されてしまうのでしょう。よくよく考えてみると、その時の選手たちの様子は、全然団子のようには見えないのですけどね・・・。
▼1-3.筆者の失敗談
そもそも、サッカーをプレーする子どものことを『団子』などと食べ物の名前で表現することは、子どもの気もち(尊厳)を損ねることにもつながりかねません。そして、言われた選手たちは、どのように感じますでしょうか。指導者側の観点からみると、そのような言葉を使う指導者のかたは、未就学児~小学校低学年の子どもにもわかりやすい言葉として、『団子』という言葉を用いるのかもしれません。かく言う筆者も、サッカー指導を始めたばかりの頃は、「子どもが試合で『団子』になってしまうのを、どうしたら解消できるかなぁ」などと考えたこともありました。そして今でも、この『団子サッカー』、「かたまるな!」といった言葉やフレーズは、指導の現場や試合の観戦の場で、いたってふつうに使われている印象があります。
▼1-4.「君たちのサッカーの仕方はありんこみたいだよ」
また、「『団子』以外に、子どもにわかりやすい例え(の表現)はないかな?」との思いから、「君たちのサッカーの仕方は砂糖に群がる『ありんこ』みたいだよ」と選手に伝えようとしたこともあります。実際は思いとどまり、選手にはそのような表現で伝えませんでしたが。ただ、先ほども申し上げたように、言われた選手たちは、自分たちのことを『ありんこ』などと表現されて、どのように感じますでしょうか?若い頃の自分の失敗談とは言え、我ながらひどい話だと思います。
▼1-5.団子サッカーに悩む指導者
筆者はまだ若かりし頃、指導している選手たちの「団子サッカー問題」には大いに悩みました。「どうしたら、団子サッカーを解消できるか?」、「どうしたら、選手たちはボールに集まることだけをせずに、サッカーの試合ができるのか?」などと。また、仲間の指導者も、試合を行う選手たちの様子を見て、「団子になるな!」、「かたまるな!」などと声をかけていました。
▼1-6.選手には自由にサッカーをさせたい
筆者は選手たちの「団子サッカー問題」には大いに悩みましたが、同時に、「選手には自由にサッカーをさせたい」との思いから、試合中のコーチング(=指示の声)は、できるだけ避けたいとの考えももっていました。
▼1-7.「自由にサッカーをやらせる」ことと「選手に指導をする」ことのジレンマ
選手たちには自由にサッカーをやらせたいので、できるだけコーチングはしない。でも、選手には「団子サッカー」をしてほしくない。指導者の葛藤(やジレンマ)が起こります。私もジュニア年代のサッカー指導者として、ずっと悩みつづけている課題でもあります。サッカー指導をするようになって約20年経ちますが、この悩みはいまだに続いている気がします。
(②につづきます)