5点以上の差がつく相手とは、練習試合を組まないで。

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「5点以上の差がつく相手とは、練習試合を組まないで」

私がサッカー指導の世界に従事しはじめたばかりの頃、先輩の指導者のかたから教わった言葉です。その先輩も、とあるJクラブの監督をされていたかたの言葉をお借りして私に伝えたそうです。私はそのときいただいた言葉を、今もだいじにしています。そして『子どもの心理学』を学習した今となっては、「5点差」からさらに、「3点差」ぐらいに考えています。

▼3点以上の差がつく相手とは練習試合を組まない

それはなぜか?

私にその考えを教えてくださった先輩は、「勝つにしても負けるにしても、5点以上の差がつく相手とは、練習試合を組まないで。それはなぜか?そんなチーム同士がトレーニングマッチをしたとしても、お互いに得るものがないからだよ」と教えてくださいました。たしかに、実力が拮抗している同士(つまり、近いレベルのチーム同士)が試合をすれば、自分たちの「現状」や「練習の成果」や「今後の課題」が見つかりやすいことが考えられます(それらの『見つけ方』は、ここでは割愛しますが)。

しかし、5点以上の差がつく相手と試合をした場合は差がありすぎて、自分たちの「現状」や「練習の成果」や「今後の課題」が見つかりづらくなることが考えられます。そして、ジュニアのサッカーに関して言及する場合、「5点以上の差がついて試合に負けてしまった」ときは、さらに「選手本人たちの負けた時のショックが大きすぎる」というダメージが待っています。

▼5点差以上の差がついて負けた時のショック

0-1のスコアや1-2のスコアなどの「僅差」で負けた時のショックと、0-5や0-8で負けた時のショックにちがいがあることは、大人であるならば、容易に想像ができるでしょう。僅差で負けたときは、「試合に負けた。でも1点差で負けた。相手よりも1点足りなくて負けた」と、「惜しかった」という部分で「悔しい」という感情や「またがんばろう」という気もちが起きやすくなります。中には「勝ち」か「負け」かぐらいでしか区別していなくて、点差などはまったく気にしない選手もいますが。

しかし、5点以上の差がついて負けた場合(私は「3点差以上」とみていますが)、「悔しい」とか「またがんばろう」の前に、「オレたちは(私たちは)弱いんだ」「もうやりたくない」といった、「選手のプライドがズタズタにされる」という大きなイメージのほうが先にくる場合が多いと思います。さらに、選手よりも親御さんのショックが大きく、「私の子どもはサッカーに向いていないのかしら?」、「子どもの所属するチームは弱くて、あまり期待できないものなのかしら?」といった、親御さんのお子さんやチームに対する見方が、「期待が薄い」とか「絶望」などといったものになってしまうというダメージも生じる可能性が上がってしまうことが考えられます。

▼「負けて得るものもある」し、「負けて悔しい気もち」も大切なのでは!?

そうした考えももちろんわかります。では、たとえばですが、あなたがもし大人になってから、6人制のバレーボール教室に通いはじめたとしましょう。そこで1セットだけの練習試合(や紅白試合)をしたときに、あなたのチームが0-25で負けたとしましょう。あなたはその後、バレーボール教室に通い続けたくなりますか?通い続けられるとするならば、あなたによっぽどの「バレーボール教室に通い続られける理由」があるはずです。あなたのお子さんがサッカーの試合で0-5で負けた場合の気もちは、あなたと同じような気もちではないでしょうか。あなたのお子さんは自らの意志や考えで、「大差で負けてもサッカーを続けられる強い理由や動機」が育まれているでしょうか?

それと、これは別の観方になりますが、実は子どものほうは、負けた直後にショックはあっても、意外とそのショックを引きずっていなくて(→ケロっと忘れていて)、大人に「負けて悔しくないのか!?」「気もちで負けるな!」などとコンコン言われることのほうが、ダメージとなっている場合があります。これらは全て、若い頃に私がしてしまった失敗経験ですが・・・。

▼試合をする前から『相手との実力差』なんてわかるものなの!??

そうですね。『相手との実力差』というものをどうやって計るのか?というのは、難しいことだと思います。何かの基準や指標やデータが必要かもしれませんね。でも、そうした基準などがない(or思いつかない)としても、「なんとなく」でもいいので、指導するチームの選手の実力というものが、わかりませんでしょうか?常日頃、指導するチームの選手ひとりひとりのことを丁寧に見ようとしていると、「なんとなく」でも『指導するチームの実力』というものは、みえてこないでしょうか。私はこの、「5点以上の差がつく相手とは、練習試合を組まないで」という先輩の教えには、「選手に大きいダメージを与えないで」というメッセージの他に、「常日頃、指導するチームのひとりひとりの選手を丁寧にみるようにして」という優しいメッセージが隠されている気がしています。

▼余談になりますが

それでも、地域のクラブチームで指導をされているかたには、「指導者間の付き合いで参加している大会もあるんだから、対戦相手の実力差なんて、考えられないよ」という意見をおもちのかたもいらっしゃると思います。

また、「選手が0-5で負けた場合は、どうしたらいいの!?」、「選手が0-10で負けたとき、親御さんはどう受け止めたらいいの!?」といった疑問や悩みをお持ちのかたもいらっしゃるかと思います。

これらについてのお話は、別の機会にこのブログでお話しいたします。

ご清聴、誠にありがとうございました。

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